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2017/09/01異物誤食

「誤食による消化器障害」

 

人は見た目や臭いから、食べても良い物かどうかを判断できます。しかし、犬や猫は嫌いな薬でも、食べたらお腹を壊してしまう物でも、好きな臭いなら食べてしまいます。また、ストレスからいつも食べない物を口に入れてしまうこともあります。

 

誤食は、動物を飼っていれば常に起こりうる行為です。

 

例え飼い主様がしっかり見ていても起こっていしまう事ですので完全に防ぐことはできないかもしれませんが、今回はその一例としていくつかご紹介させていただき、もう一度身の回りの危険性について考えて頂けたらと思います。

症例は4頭。

 

1頭目の子は、ゴミ箱をあさって誤食した子です。

 

誤食したのは枝豆の皮と鶏肉の骨。頻回嘔吐を主訴に来院されましたが、異物は出てきませんでした。レントゲン検査で胃内に大量の何かがつまっていることが分かり、後日手術で胃を切開しました。出てきたのは未消化の枝豆の皮。量が多かったのもありますが、犬は消化がしにくいようです。

 

2頭目の子は、留守中にテーブルのお菓子を食べてしまった子です。

これもありがちですよね。

 

誤食したのはお菓子と共に包んでいたアルミの袋。こちらもレントゲン検査で胃内に大量の何かが詰まっていることがわかり、胃切開を実施。アルミは消化されることなく胃を刺激し続け、大量の胃液が充満。強酸性の胃液が胃を荒らしていたため、術後も食欲が回復するのに時間がかかりました。

 

チョコレートは勿論食べさせてはいけませんが、溶けないアルミはさらに厄介です。

3頭目の子は、食糞や誤食をしてしまうことから、口輪を常用していた子です。

 

口輪しておけば安心ですよね。でも・・・・

 

誤食したのは口輪のベルトの部分。バックルごと飲み込んでいました。

 

元々、時々嘔吐することと軟便・食欲不振が見られることが主訴で来られ、レントゲン検査でも明らかな異物は見られませんでしたが、対症療法でも完治せず口輪誤食の可能性があったことが分かったので、試験開腹を実施。小腸と結腸に口輪の紐とバックルが詰まっており、ほぼ完全閉塞な状態でした。

 

口輪も扱い方によっては危険なことになります。

 

4頭目の子は、全く誤食の可能性がないと思われていた子。

でも、お散歩中に草むらに顔を突っ込んでいたから、もしかして・・・

 

誤食したのは木片。2㎝四方の角材で、食べたときに噛んだのか少し丸くはなっていましたが、ほぼ完全に閉塞していました。数日前からの頻回嘔吐が主訴で、レントゲン検査でも明らかな異常は分からず、対症療法でも完治せず。唯一、超音波検査で十二指腸付近に異物らしき陰影を捉えたため、試験開腹を選択。同様の位置に木片がつまっていました。

 

散歩中の誤食は一瞬なので見逃しがち。

 

各々、飼い主様があげたくて食べさせ、詰まらせた物ではありません。

 

誤食は事故と言っていいかもしれません。それ故に、どの家庭でも、どの犬でも猫でも起こりうる事ですので、普段から家の物の配置や食べ物の位置には注意していただき、お散歩中の誤食を防ぐためには、気を引くためのおやつやフードを持参していただくことで、少しでもこの事故が減らせればいいなと思います。

 

院長 金子