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2019/03/03肘関節脱臼
「猫の肘関節脱臼の外科的整復」
肘関節脱臼は、外傷性で起こることが多く、そのほとんどが早期の非観血的(手術しない方法)整復で安定化するとされています。
しかし、関節周囲の靱帯の損傷を伴って不安定化が増してしまうこともあります。
今回は、非観血的整復が困難で手術を行った猫さんです。
症例は、2歳の男の子の日本猫。
元々、外出する習慣があり、帰宅後、右前肢を挙上していたとういことで来院されました。
明らかな外傷はないものの、右前肢の上腕部付近に腫れが認めれられたため、レントゲン検査を実施しました。
右側肘関節の外方脱臼が見つかり、鎮静化で非観血的整復を実施。包帯で固定し、完全室内管理をしていただきました。
1週間の固定後、包帯を外しても安定していたため経過観察としましたが、再度外出→再脱臼。
同様の処置で整復し固定はしましたが、今後も外に出ることがあるので、手術を行うこととなりました。
肘関節は、内転が過度であったために、外側側副靱帯が損傷していると判断。
外側アプローチを行い、関節包を切開して肘関節部を露出。上腕骨遠位上顆にドリルで穴をあけて2.0皮質骨スクリューをワッシャーと共に
設置。その後橈骨粗面に穴を開けて、特殊な糸であるFiber Wireを通し、ワッシャーのついたスクリュー部分と8の字縫合を行って、靭帯の
代わりとして関節部分の安定化を行った。関節包、筋膜、皮下組織を縫合し、皮膚を閉じて終了とした。
2週間のケージレストの後、抜糸を実施した。
その後1,2か月は間欠的に跛行は見られたものの、一般生活に支障はなく、高いところにも登っていけるようになりました。
今回のことから、高いところへジャンプするなど、犬よりも室内(この子は室外でも)での活動性の高い猫の肘関節脱臼は、再脱臼の
リスクが高いと思われるました。側副靱帯の障害の程度によっては、速やかに手術に移行してもいいのではないかと考えられました。